基本姿勢のあれこれ

これまでたくさんの保護者の方とお子様のやり取りを見てきたり、よく質問される事の一つに「膝が曲げられない」または「姿勢が高いまま」ということがあげられます。スノーボードについてよく勉強されていたり、ご自身が基礎練習を重ねていらっしゃる方ほど、お子様がコンパクトにきれいな姿勢で滑走することを求めていらっしゃるように思います。基礎知識があるほど、そこに焦点がいきすぎてしまい、その本質を忘れがちな事も多くあるのも事実です。「コンパクトになる」ことのみに意識しすぎて、大人・子供ともに、「沈み込む」(腰を落とし重心を低くする)のではなく、「膝を曲げ」(しゃがんだ状態)で「前のめり」もしくは「お尻がでっぱり」重心がボードから外れとても不安定な状態になってしまっていることがよくあります。

 

「コンパクトになる」こと自体は、腰を落とし、重心を下げ状態を安定させるという意味でとても大切な事ですが、重心がボードから外れてしまうのであれば、逆効果となってしまうので注意が必要です。お子さまの場合、単純にブーツやビンディングの高さが膝近くまであったり、ギア自体の硬さに対応できない筋力や体格だったりします。想像してみてください。新しいゴム長靴でなにかしら作業をする時、歩きにくかったり作業しにくかったりしたことはないですか?かくいう私も嫁さんの実家の畑仕事で、新たに下ろした長靴ですとやはり作業しにくく、とても疲れてしまいます。

 

あまり「コンパクトな姿勢」を強調しすぎると、写真の子供のようになってしまいます。

(膝を曲げ、前のめりでお尻を突き出し、重心は板から外れています。)

 


 膝下を何かでおおい固定されるという事は、とてもしんどいことだと思います。

 

さて、話は戻り、上記の理由から、お子様にとって、コンパクトな姿勢を強調することは、あまり適切な指導法ではないとこれまでの経験で痛感いたしました。

 

「沈み込む」ことと、「しゃがむこと」は違います。ただ「膝を曲げて」しゃがんでいては板に圧はかかっているとは言えません。だからこそ、腰を落として沈み込み「重心を下げる」ことはむつかしいのです。

 

ではそれでも、なぜ「沈みこみ」が大切なのか?

 

確かに「沈みこみ」は加重をかけたり、滑走姿勢を整えたりするためには重要です。

沈み込み」の本質は雪面に圧力をかけてグリップ力を増し滑走の切れを出したり、不安定で足の取られやすい雪の上でも、身体を安定させ安全に、快適に滑ることにあります。

 

上記の説明だと「沈み込み」ができないと、安全には滑れないじゃないか?という疑問や不安を持たれると思います。しかしながら「沈み込み」がうまくできなくても比較的安全に、快適に行きたい方向に進める方法があります。

 

その答えは、「お腹に力を入れる(腹筋の緊張)」、進行方向へ視線を向けさせる(目線の先行)」、後ろ足の「踏み込みと解放(ぐーぱー)」です。(ここでいうターンはエッジングを最大限に引き出すカービングではなく、あくまで行きたい方向へ進む滑走を指します。)

小学生低学年位までのお子さんに対してかけてあげる言葉は「足のぐーとぱー」です。

言葉だけでは分かりにくいので写真のからの写真を参考にしてみてください。

  1. フラットな状態です。

  2. つま先の踏み込み=>主にトウーエッジ(つま先側)をコントロールしたり、フロントサイドターンの際に使います。

  3. 踏み込みのコツ=>何かをつま先で掴むような感じで踏み込みの力を入れます。

  4. つま先の開放=>主にヒールエッジ(かかと側)をコントロールする時に使います。

  5. バックサイドターンでかなりヒールエッジに乗る時をイメージして、つま先を開放しました。開放する事によりかかとに加重(荷重ではなく、かかとに圧が加わるという意味です。)がかかり、ヒールエッジ側の雪面をつかんでいます。

「お腹に力を入れること」、「進行方向へ視線を向けること」、そして「足のぐーぱー」を使うことによりニュートラルな姿勢で、安定して滑れますし、お子様に無理のない姿勢で安全に滑る事ができるので、負担なく滑走技術を身に付ける基礎作りができます。

 

今回のキーワードは「グーとパー」です。

 

保護者の方には、お子様がどれだけ「膝を曲げているか」よりも、「お腹がゆるんでいないか」、「後ろ足のつま先のぐーぱー」、「目線(頭の動き)」に関して声掛けをしてあげてください。声掛けにもいろいろ注意点やコツがあるので、詳細に関してはキャンプでよりわかりやすくお伝えできるかと思います。

 

まずはしっかり板に圧をかけることを覚え、その感覚を足裏に叩き込むことが大事です。そこから、必要に応じて段階的に腰を落とし、本来の意味での「沈み込み」を身に付けていけばいいのです。バスケ、バレーボール、サッカー、テニス、野球・・・次の動作の準備をするニュートラルな姿勢を思い出してみてください。そこから必要に応じて踏み込んだり、沈み込み、ためを作って開放したり…多彩な、リズム、力加減で動作しているはずです。まずはニュートラルに安定した姿勢を作りましょう。

 

長くなりましたが、基本姿勢に関しては以上です。

 

 

(こちらの写真は「腹筋」、「目線」、「後ろ足のぐーぱー」の声掛けをしたフォームです。とてもきれいなフォームをとってくれています。そしてここが大切!雪面に対して均等に圧がかかった状態が作れています。参考にしてみてくださいね!)