基礎?応用?難易度って…

 

スノーボード技術に関していろいろ書かせて頂き、折に触れて“基礎滑走技術”の習得の重要性を伝えさせて頂きました。ここでは、Family Snow Projectの考える“基礎滑走技術”についてお話しさせていただきます。

 

皆さんの「基礎」のイメージとはどんなものでしょうか?例えば、進学や普段の勉強の際、問題集を活用し勉強されているかと思いますが、よく目にするのが「基礎問題集」とか「問題集~基礎編~」というものがあるかと思います。対して「応用編」…それぞれどのようなイメージを持たれるでしょうか?

 

「基礎」はどちらかというとシンプルで難易度の低い問題が対象となり、「応用」は複雑で難易度の高い問題が含まれているという印象が多いのではないかと思うのです。

 

では、Family Snow Projectが“基礎”滑走技術と表現した場合がどうでしょうか?私たちが“基礎”という表現をしたとき、それはシンプルで難易度の低い技術を指しているわけではありません。どちらかというと、先のコラム【ていねいに滑るということ】で紹介した“ピラミッド構造”のまさしく基礎、礎(いしずえ)部分をなす技術のことを表現しているのです。建築物の土台部分、基礎部分のイメージを思い浮かべて頂ければわかりやすいと思うのですが、例えば家を建てる際に一番重要とされる基礎工事、ここがおろそかになるといくら建物の枠を整えても、強固な家にはならないのと同じだと思うのです。最初にしっかりした基礎工事を行い、経年劣化や増築の際、必要に応じて基礎部分の補強を行うなどのメンテナンスをしながら、長く人の生活や命を守っていく…

 

私たちも、スノースポーツを始めてまもないお子様には、今から絶対に必要な”基礎“作りを、レベルアップして、もっといろいろなことにチャレンジしたい中級レベルのお子様には、次に進むために必要な”基礎“補強を、そして、自分の目標を見据え理想に向かって頑張る上級レベルのお子様には、少々のことでは動じない”基礎“の再補強と”自分でメンテナンスできる方法”を伝えていきたいと考えています。

 

重要なのは、それぞれの技術的な成長過程で習得していかなければならない“基礎”滑走技術があるということなのです。例えば、*先落とし(ノーズドロップ)ですが、やったことがあるからやらなくてもいい基礎滑走技術習得のための練習方法ではありません。それぞれの技術レベルで抑えるべきポイントがあり、技術が上がれば上がるほど、そのむつかしさと奥の深さ、そして実施後の滑りの変化に気づくことが練習を重ねるとよくわかります。

 

レッスンをさせていただく中で、“基礎”をしっかり練習させているとおっしゃるお父さん、お母さんのお子様にまず尋ねるのが、「基本姿勢を見せて」というものです。本当によく基礎滑走技術の練習をしているお子様はすぐに本人なりの“基本姿勢”を表現できますが、多くの場合首をかしげ、“基本姿勢”がなにか理解できないことが見受けられます。“基本姿勢”という用語を使用せず、「滑るとき、どういう体の形で滑ってるの?」などほかの言葉で言い換えても、その概念がないので理解できず、やはり表現することができません。(基本姿勢、ニュートラルな姿勢は滑走技術の根幹、後の成長のために絶対に習得しなければならない一番重要な部分であることは何度もお伝えした通りかと思います。)

 

正直なところ、この状態でもある程度の難易度のトリック(いわゆる“応用”とさせる技術)は習得可能です。楽しくステップアップしていく中で、安全な状況で新しいことにチャレンジすることは大変良いことなので、どんどん頑張っていってはほしいのですが、例えば雪面の状態が悪く足がとられやすかったり、バランスを崩してしまったときに、この基礎滑走能力の差が顕著に表れます。ダイレクトのケガをするかしないかにつながります。また基礎滑走技術の習得に時間をかけ、レベルなりの基礎練習を継続して行っている方は、大人でも子供でも、高いリカバリー力、雪面にとらわれない安定感、そして何より“成長の継続性”が見られます。

 

大人でも、「もう上手くならない」と嘆いている方がたくさんいらっしゃいますが、今の自分のレベルでクリアしなければいけない基礎練習をおろそかにすることなく、目標に対して今やるべきことを単純に積み重ねていけば、絶対に成長するので、一緒に頑張りましょう!と声を大にして伝えたい気持ちになるのです。

 

“基礎”は礎(いしずえ)、決して簡単な技術を表現しているのではありません。

 

Family Snow Projectではこの土台作りと、メンテナンスの方法をお子様、そして、お父さん、お母さんにご提案していきたいと考えています。

 

 

 

*先落とし(ノーズドロップ):立ち上がりとノーズへの重心移動によって谷回りの動作を作る重要な練習方法。直滑降からの停止、直滑降からの山回り、先落とし、斜滑降からの谷回り…という順序でターンを習得していきます。